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健康コラム

生理前後や介護の合間の片頭痛、がまんしていませんか? ― 約2万人の調査から

日頃より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
福岡天神頭痛と肺のクリニックでございます。

「生理が来るたびに頭痛で寝込みます。毎月のことなので、仕方ないと思っていました」

「親の介護があって、自分の受診はつい後回しになっています」

「市販の痛み止めが、前より効かなくなってきた気がします」

こんな経験はありませんか。
片頭痛(へんずつう)は、「毎月のこと」「忙しいから」と我慢されやすい頭痛です。
日本の大きな調査で、女性や家族の介護をしている方ほど、片頭痛の負担が大きいことがわかってきました。
今回は、月経(生理)や介護と片頭痛の関係、そして我慢しないための工夫をご紹介します。

生理前後や介護の合間の片頭痛、がまんしていませんか? ― 約2万人の調査から 記事のポイント図解

片頭痛は、女性に多い頭痛です

日本では、15歳以上の約8.4%が片頭痛をもっていると報告されています。
男性より女性に多く、働く世代や、子育て・介護の世代と重なります。

片頭痛には、次のような特徴があります。

  • ズキンズキンと脈打つように痛む
  • 頭の片側に起こることが多い(両側のこともあります)
  • 体を動かすと痛みが強くなる
  • 吐き気がしたり、光や音がつらくなったりする
  • 治療をしないと、4〜72時間続く

関連記事:市販薬が効かない頭痛、その正体は? ― 片頭痛セルフチェック


約2万人の調査でわかったこと

2023年、片頭痛のある日本の成人1万9,590人が、インターネットの調査に答えました。
その結果を、性別や介護の有無などに分けて調べた報告が、2026年に医学誌に発表されました。

  • 発作の薬(トリプタン)を使っている割合は、女性8.7%、男性11.7%
  • 予防の薬を使っている割合は、女性11.2%、男性18.3%
  • 月経に関連する片頭痛がある女性では、発作のない日の負担が重い人が36.3%(ない女性は27.8%)
  • 高齢の家族を介護している人では、同じ負担が重い人が39.2%(介護していない人は26.0%)

「発作のない日の負担」とは、次の発作への不安や、予定の立てにくさなどのことです。
負担が大きいのに、治療につながりにくい人がいることがうかがえます。
なお、回答者の自己申告をもとにした調査で、原因と結果の関係までは分かりません。


月経の前後に起こる片頭痛

月経が始まる2日前から月経3日目までに起こる片頭痛を、「月経に関連する片頭痛」と呼びます。
3回の月経のうち2回以上で、この時期に発作があるかどうかで判断します。
月経の前に女性ホルモン(エストロゲン)が急に減ることが、引き金の一つと考えられています。

この時期の発作は、ほかの時期より長引きやすく、薬が効きにくいことがあります。
海外の研究では、薬を飲んで2時間後に痛みが消えた割合は、月経の時期の発作で13.5%、それ以外の時期で32.9%でした。
月経に合わせて、薬を使うタイミングを工夫できることがあります。

海外では、月経が始まる2日ほど前から数日間、薬を予防として続けて飲む方法がとられることがあります。
使われるのは、効き目が長いタイプのトリプタンや、痛み止め(NSAIDs)などです。
日本では、この飲み方は保険で認められていない使い方(適応外)です。

低用量ピルなど、エストロゲンを含む薬を飲んでいる方、飲む予定の方もご注意ください。
目の前にチカチカした光が見えるなどの「前兆(ぜんちょう)」がある片頭痛では、脳卒中が起こりやすくなるとの報告があります。
そのため、これらの薬は使えません。
処方を受けるときは、前兆の有無を必ず医師に伝えてください。

関連記事:トリプタンの基本|5種類ある片頭痛の治療薬、その使い分け


介護の合間の片頭痛

家族の介護をしていると、自分の体調は後回しになりがちです。
寝不足、食事を抜く、気の張った状態が続くことは、どれも片頭痛の引き金になりえます。
休めないからこそ、市販の痛み止めでしのぎ、飲む回数が増えてしまう方もいます。

「介護が落ち着いたら」と待たずに、一度ご相談ください。
介護の負担そのものは、お住まいの地域の「地域包括支援センター」に相談する方法もあります。


痛み止めの使いすぎにご注意を

痛み止めを飲む日が増えると、かえって頭痛が増えることがあります。
これを「薬剤の使用過多による頭痛」といいます。次の状態が3か月を超えて続くときは、注意が必要です。

  • 市販の痛み止め(成分が1種類のもの)を、月15日以上使っている
  • トリプタンや、成分が複数入った痛み止めを、月10日以上使っている

関連記事:鎮痛薬の基本|アセトアミノフェンとNSAIDs、その使い分け(改訂版)


我慢しないために、できること

  • 頭痛ダイアリーをつける:頭痛の日、強さ、飲んだ薬に加えて、月経の日も書き込む(用紙は当院でもお渡ししています)
  • 睡眠と食事のリズムを整える:寝不足や寝すぎ、空腹は引き金になります
  • 痛みが軽いうちに薬を使う:片頭痛の薬は、早めに使うほうが効きやすいとされています
  • 薬を飲んだ日を数える:月10日を超えそうなら、早めに相談する
  • 一人で抱えない:発作の日の家事や介護を、家族やまわりの人に頼んでおく

「いつもの片頭痛」と思い込まないでほしい症状

次のようなときは、すぐに受診してください。
突然の激しい頭痛は、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。

  • これまでで一番ひどい頭痛が、突然始まった
  • 熱が出て、首が硬く、前に曲げにくい
  • 手足のしびれや動かしにくさ、ろれつが回らない
  • 前兆が1時間以上続く、いつもと違う前兆が出た
  • 50歳を過ぎて、初めて頭痛が始まった
  • 妊娠中や出産後に、いつもと違う頭痛が出た
  • 低用量ピルを飲み始めてから、頭痛が強くなった、前兆が出るようになった

激しい頭痛では、くも膜下出血などの鑑別が必ず必要です。


こんな症状はありませんか?

  • 月経の前後になると、頭痛で寝込むことがある
  • 頭痛のせいで、仕事や家事、介護を休むことがある
  • 市販の痛み止めを、月に10日以上飲んでいる
  • 痛み止めが、以前より効かなくなってきた
  • 頭痛のない日も、「また痛くなるかも」と不安になる
  • 片頭痛で病院にかかったことがない

当院でできること

  • 頭痛の診察:片頭痛か、ほかの頭痛かを見極めます
  • 頭部CT:院内で撮影でき、当日の緊急撮影にも対応しています
  • 必要に応じて、連携施設での頭部MRIや、陣の内脳神経外科との連携で対応します
  • 発作のときの薬(トリプタンなど)の処方と、使うタイミングのご相談
  • 予防の治療:飲み薬や、CGRP(シージーアールピー)に関わる注射薬・飲み薬をご相談いただけます
  • 頭痛ダイアリーをお渡しし、月経や生活との関係を一緒に振り返ります
  • 女性医師も頭痛の診察を担当しています(勤務日は勤務表をご確認ください)

関連記事:片頭痛の新しい薬|レイボーとナルティーク、トリプタンとの違い
診療案内:頭痛


まとめ

・片頭痛は女性に多く、月経や介護が重なると負担が大きくなりやすいことが分かっています
・月経に関連する片頭痛は長引きやすく、頭痛ダイアリーの記録が治療の工夫につながります
・毎月寝込む方、痛み止めが月10日を超える方は、我慢せずにご相談ください

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断や治療方針を示すものではありません。内容は掲載時点の情報にもとづいています。症状のあらわれ方や、検査・治療の必要性は患者さんごとに異なります。記載した検査や薬剤の使用には医師の診察が必要で、費用は診療内容によって異なります。自己判断で薬の飲み方を変えないでください。ご不明な点は当院(電話 092-791-3985)までお問い合わせください。


今回の記事の根拠

・Ooba S, et al. Characteristics and Treatment Patterns in People with Burden of Migraine: A Subgroup Analysis of the OVERCOME Japan 2nd Study. Pain Ther. 2026;15(5):1401-1432.(https://doi.org/10.1007/s40122-026-00857-4)※日本イーライリリー株式会社による調査
・Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia. 1997;17(1):15-22.(https://doi.org/10.1046/j.1468-2982.1997.1701015.x)
・Granella F, et al. Characteristics of menstrual and nonmenstrual attacks in women with menstrually related migraine referred to headache centres. Cephalalgia. 2004;24(9):707-716.(https://doi.org/10.1111/j.1468-2982.2004.00741.x)
・Silberstein SD, et al. A randomized trial of frovatriptan for the intermittent prevention of menstrual migraine. Neurology. 2004;63(2):261-269.(https://doi.org/10.1212/01.wnl.0000134620.30129.d6)
・Vetvik KG, MacGregor EA. Menstrual migraine: a distinct disorder needing greater recognition. Lancet Neurol. 2021;20(4):304-315.(https://doi.org/10.1016/S1474-4422(20)30482-8)
・日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修『頭痛の診療ガイドライン2021』医学書院
・日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会 訳『国際頭痛分類 第3版』医学書院
・エストロゲンを含む低用量経口避妊薬の添付文書(禁忌:前兆を伴う片頭痛の患者)


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以上、【生理前後や介護の合間の片頭痛、がまんしていませんか? ― 約2万人の調査から】でした。
『福岡に医療で貢献する』ことを目標に、患者様へより良いサービスを提供できるように日々精進してまいります。
引き続き、福岡天神頭痛と肺のクリニックをどうぞよろしくお願いいたします。

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