日頃より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
福岡天神頭痛と肺のクリニックでございます。
「痛み止めって、どれを選べばいいのか分からなくて」
「胃が弱いので、飲むのをためらってしまいます」
「痛くなりそうだから、先に飲んでおきました」
こんな経験はありませんか。
薬局にはたくさんの痛み止めが並んでいますが、中身の成分は大きく2つのグループに分けられます。
どちらを選ぶかで、向いている痛みも、気をつける点も変わってきます。
今回は、アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使い分けと、頭痛のときの上手な使い方についてお伝えします。

痛み止めには、大きく2つのタイプがあります
ひとつめが、アセトアミノフェン(カロナール)です。
熱を下げる作用と痛みをやわらげる作用がありますが、炎症をしずめる力は強くありません。胃への負担が少なく、小さなお子さんや妊娠中の方にも使われることがあります。
ふたつめが、非ステロイド性抗炎症薬(ひすてろいどせいこうえんしょうやく)、略してNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれるグループです。
ロキソプロフェン(ロキソニン)、イブプロフェン(ブルフェン)、ジクロフェナク(ボルタレン)、セレコキシブ(セレコックス)などが含まれます。痛みのもとになる炎症を直接おさえるため、関節や歯、けがの痛みによく効きます。
ドラッグストアの市販薬にも、同じ成分が形を変えて入っています。
商品名ではなく、パッケージ裏の成分名を見ていただくと、自分がどちらのタイプを飲んでいるかが分かります。
アセトアミノフェンは「量」を守れば使いやすい薬です
アセトアミノフェンは、世界でもっとも広く使われている痛み止めのひとつです。胃にやさしく、比較的安全性の高い薬ですが、量には決まりがあります。
医療用の目安は、痛みに対して1日の合計で4,000mgまで、熱を下げる目的では1日の合計で1,500mgまでとされています。
また、1日1,500mgを超える量を長く続ける場合は、肝臓の状態を定期的に確認する必要があります。
見落とされやすいのが、市販の総合感冒薬(かぜ薬)との重なりです。
かぜ薬の多くにアセトアミノフェンが含まれているため、「かぜ薬+痛み止め」を同時に飲むと、気づかないうちに量が増えていることがあります。飲み合わせに迷ったら、薬剤師か当院にご相談ください。
なお、量を大きく超えて飲むと肝臓に重い障害が起こることがあります。「効かないから倍飲む」という使い方は避けてください。
軽い片頭痛の発作には、アセトアミノフェンから
片頭痛の発作でも、痛みが軽いうちであれば、アセトアミノフェンやNSAIDsで十分に対応できることがあります。
アセトアミノフェンは、軽度の片頭痛発作に対して使用する薬という位置づけです。
大切なのは、飲むタイミングです。
片頭痛は、痛みが強くなりきってから飲むと効きにくくなります。「これは片頭痛が始まったな」と感じた早い段階で使うほうが、効果が出やすいとされています。
一方で、発作が重く、寝込んでしまう、吐き気で動けないという場合は、市販の痛み止めだけでは足りないことがあります。
その場合は、トリプタンなど片頭痛に的を絞った薬を検討します。
トリプタンと痛み止めを、一緒に使うこともあります
「トリプタンを出してもらったので、痛み止めはもう飲まないほうがいいですか」とよく聞かれます。
実は、トリプタンと痛み止めは、効く仕組みがまったく違います。
トリプタンは、片頭痛の発作中に起きている血管や神経の変化に働きかける薬です。これに対してNSAIDsは、痛みのもとになる物質がつくられるのをおさえます。
仕組みが違うため、両方を組み合わせることで、どちらか一方よりも効果が得られる場合があります。
発作が強い方や、トリプタンだけでは痛みが残ってしまう方では、あえて併用をご提案することもあります。
ただし、併用が向くかどうかは、頭痛のタイプ、使っている薬の量、胃や腎臓の状態によって変わります。
自己判断で足すのではなく、診察の際にご相談ください。
NSAIDsで気をつけたいこと(胃・腎臓・心臓)
NSAIDsはよく効く薬ですが、長く続けたり量が増えたりすると、体に負担がかかります。主に次の3つです。
胃腸
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃からの出血が起こることがあります。決してまれな副作用ではありません。
長期に使う必要がある方には、胃を守る薬を一緒に処方します。「胃薬は要らないので」と断らずに、続けていただくことをおすすめします。
腎臓
NSAIDsは腎臓の血流を減らすため、腎機能が落ちることがあります。むくみや血圧の上昇として現れることもあります。
特に注意が必要なのが、利尿薬と、降圧薬の一部(ARBやACE阻害薬)を飲んでいる方です。この2つにNSAIDsが加わると、腎臓への負担が大きくなることが知られています。飲み始めて1か月以内が要注意の時期です。
心臓・血管
NSAIDsは、心筋梗塞や脳梗塞のリスクをわずかに高めることが報告されています。
心臓や血管の病気をお持ちの方では、短い期間の使用でも注意が必要とされています。
高血圧、糖尿病、腎臓病で通院中の方、心臓の病気の既往がある方は、市販の痛み止めを続けて使う前に一度ご相談ください。
こうした場合には、アセトアミノフェンを選ぶという判断もあります。
喘息のある方は、痛み止めの選び方に注意が必要です
喘息をお持ちの方の中には、痛み止めをきっかけに強い発作が起きる方がいらっしゃいます。
アスピリン喘息(近年はN-ERDとも呼ばれます)という状態で、アレルギーとは異なる仕組みで起こります。
特定の1剤だけが危ないわけではなく、NSAIDsのグループ全体で起こりうるのが厄介な点です。
飲み薬だけでなく、湿布や塗り薬、点眼薬でも症状が出ることがあるため、「貼るだけなら大丈夫」とは言えません。
このような方では、アセトアミノフェンが比較的使いやすいとされていますが、量が多いと症状が出ることもあり、1回あたり500mg未満、できれば300mg未満といった少なめの量から使うのが安全とされています。
また、NSAIDsの中でもセレコキシブ(セレコックス)は、炎症に関わる酵素のうち一方を選んでおさえるタイプで、気道の症状が出にくいと報告されています。
ただし国内では、アスピリン喘息の方には使用できない薬として添付文書に記載されています。使用を検討する場合は、これまでの発作の経過を含めて医師が慎重に判断します。いずれにしても、ご自身の判断で選ばないでください。
喘息の治療中で、痛み止めを飲んだあとに息苦しさや鼻づまりが強くなった経験がある方は、必ず主治医にお伝えください。
当院では呼吸器の診療も行っておりますので、頭痛と喘息の両方を踏まえてお薬を選ぶことができます。
こんな症状はありませんか?
痛み止めとの付き合い方を振り返るチェックです。当てはまるものを数えてみてください。
- 痛み止めを使う日が、1か月に15日以上ある(アセトアミノフェンやロキソプロフェンなど)
- トリプタンや、複数の成分が入った鎮痛薬を使う日が、1か月に10日以上ある
- 痛くなりそうな日に、予防のつもりで先に飲んでいる
- 我慢していると、かえって頭痛がひどくなる
- 以前より、痛み止めが効きにくくなってきた
- 薬を切らすのが不安で、いつも持ち歩いている
ここで大切なのは、「15回」ではなく「15日」だという点です。
痛い日にしっかり薬を使って痛みをおさえること自体は、むしろ望ましい対応とされています。問題になるのは、薬を使う日数が月の半分を超えて続いている状態です。
この状態が3か月を超えて続くと、薬剤の使用過多による頭痛(やくざいのしようかたによるずつう)になっている可能性があります。痛み止めそのものが頭痛を起こりやすくしてしまう状態です。
当てはまる項目があった方は、頭痛外来の受診をご検討ください。
市販薬を減らすだけで解決しないことも多く、片頭痛の予防を目的とした専門的なお薬があります。飲み薬や注射薬など選択肢が増えており、使う痛み止めの量そのものを減らしていくことを目指します。
次のような頭痛は、別の病気が原因となっている可能性があります。
- 今までに経験したことがない、突然の激しい頭痛
- 手足が動かしにくい、しびれる、ろれつが回らない
- 発熱や首のこわばりを伴う
- 頭痛が日に日に強くなっている
当てはまる場合は、痛み止めで様子を見ず、早めの受診をご検討ください。突然の激しい頭痛や意識の異常があるときは、救急要請を含めた緊急の対応が必要です。
当院でできること
当院では、頭痛の起こり方や経過、これまでに使ってきた痛み止めの種類と日数をうかがい、そのうえでお薬を選び直すご提案を行っています。
頭痛ダイアリーを使った経過の確認、発作時の薬の調整、予防治療のご相談にも対応しています。
別の病気による頭痛が疑われる場合は、院内で頭部CT検査を行うことができます。必要に応じて、連携施設での頭部MRI検査や、陣の内脳神経外科との連携により対応いたします。
喘息やアレルギーをお持ちの方には、呼吸機能検査や血液検査を行ったうえで、痛み止めの選び方を一緒に整理します。呼吸器の専門医と脳神経外科の専門医が在籍しておりますので、頭痛と呼吸器の両面からご相談いただけます。
まとめ
・痛み止めは大きく2種類。体の状態によって向き不向きがあります
・アセトアミノフェンは量を守れば使いやすく、軽い片頭痛発作に適しています
・痛み止めを使う日が月に15日以上続いているなら、一度ご相談ください
痛い日に我慢することが正解ではありません。使う日数が増えてきたときが、相談のタイミングです。
記事中に挙げた薬剤は、いずれも国内で承認されている医療用医薬品です。記載した用量は医療用医薬品の一般的な目安であり、年齢や体格、肝臓・腎臓の状態によって適切な量は異なります。効果やあらわれる副作用には個人差があり、すべての方に使用できるわけではありません。お持ちの病気や併用中のお薬、妊娠・授乳の状況によっては使用できない場合があります。使用には医師の診察と処方が必要です。保険診療として行っており、費用は診療内容によって異なります。ご不明な点は当院(電話 092-791-3985)までお問い合わせください。
※本文中の目安は、『頭痛の診療ガイドライン2021』(日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修)、『国際頭痛分類 第3版』および各薬剤の添付文書を参考にしています。
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以上、【鎮痛薬の基本|アセトアミノフェンとNSAIDs、その使い分け(改訂版)】でした。
『福岡に医療で貢献する』ことを目標に、患者様へより良いサービスを提供できるように日々精進してまいります。
引き続き、福岡天神頭痛と肺のクリニックをどうぞよろしくお願いいたします。
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