日頃より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
福岡天神頭痛と肺のクリニックでございます。
「前にもらったお薬が、あまり効かなかったんです」
「飲んでも吐いてしまって、効いているのか分かりません」
「夕方にはまた痛くなってきて、結局1日つぶれました」
こんな経験はありませんか。
片頭痛の発作を止める薬として、トリプタンと呼ばれるグループがあります。
実はこのトリプタン、国内では5種類あり、効き始めの速さも、効果の続く長さも、薬の形も違います。
「トリプタンが効かなかった」という方の中には、種類や飲み方を変えるだけで楽になる方がいらっしゃいます。
今回は、5種類の違いと選び方についてお伝えします。
トリプタンは「痛み止め」とは違う薬です
市販の痛み止めは、痛みのもとになる物質がつくられるのをおさえる薬です。頭痛だけでなく、生理痛や歯の痛みにも広く使えます。
一方トリプタンは、片頭痛の発作中に起きている変化に的を絞って働きかけます。
発作中は、頭の血管が広がり、三叉神経(さんさしんけい)という神経から痛みを強める物質が出ています。トリプタンはこの両方に作用し、発作そのものを止めにいきます。
そのため、肩こりからくる緊張型頭痛には効きません。片頭痛と診断されてはじめて使う薬です。
もうひとつ大切なのが、飲むタイミングです。
トリプタンは、痛みが軽いうちに使うほうが効果が出やすいとされています。「もう少し我慢してから」と待っていると、同じ薬でも効きにくくなります。
国内で使える5種類のトリプタン
成分ごとに、効き始めの速さと効果の持続時間に違いがあります。
スマトリプタン(イミグラン)
もっとも古くから使われている成分です。錠剤のほかに点鼻薬と自己注射があり、剤形の選択肢が多いことが特徴です。吐き気が強い方や、短時間で痛みがピークに達する方に向くことがあります。
ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
錠剤に加えて、水なしで口の中で溶けるタイプ(RM錠)があります。外出先や通勤中でも使いやすい薬です。
エレトリプタン(レルパックス)
効き始めが比較的速く、効果もしっかり得られやすいとされる成分です。仕事中の発作で、早く動けるようになりたい方に選ばれることがあります。
リザトリプタン(マクサルト)
効き始めの速さが特徴です。水なしで飲めるタイプ(RPD錠)があります。ただし、一部の予防薬と一緒に使う場合は量の調整が必要なため、飲んでいる薬をすべてお伝えください。
ナラトリプタン(アマージ)
効き始めは穏やかですが、効果が長く続くのが特徴です。発作が2日以上続く方、いったん効いても夕方にぶり返す方、月経に関連した頭痛が長引く方に向くことがあります。
どれが合うかは、あらかじめ予測できるものではありません。
実際に使ってみて、効き方や副作用を確認しながら調整していきます。「最初の1種類で決まり」ではない、とお考えください。
飲み薬が使いにくいときは、別の形もあります
吐き気が強くて飲めない、飲んでもすぐ吐いてしまうという方は、薬の形を変えることで解決する場合があります。
水なしで口の中で溶けるタイプなら、吐き気があっても使いやすくなります。
点鼻薬は胃を通さないため、嘔吐しているときにも使えます。自己注射は、もっとも速く効果が現れる方法です。
朝起きたときにはすでに痛みが強い、という方も、速く効く剤形が助けになることがあります。
「飲めないから諦める」前に、一度ご相談ください。
「効かない」と感じたときに試せること
トリプタンが合わなかったという方でも、次のような見直しで改善することがあります。
飲むタイミングを早める
もっとも多いのがこれです。痛みが強くなりきる前、片頭痛が始まったと感じた段階で使ってみてください。
痛み止めと組み合わせる
トリプタンとNSAIDsは効く仕組みが異なるため、同時に使うことで効果が得られる場合があります。自己判断で足さず、量とタイミングを決めたうえで行います。
別のトリプタンに変えてみる
同じグループでも、ある成分が効かなかった方に別の成分が効くことは珍しくありません。1種類で諦めるのはもったいない場面です。
新しいタイプの薬を検討する
近年、トリプタンとは別の仕組みで発作に効く薬が登場しています。
ラスミジタン(レイボー)は、血管を収縮させる作用がないため、心臓や血管の病気があってトリプタンを使いにくい方の選択肢になります。飲むのが遅れた発作にも効果が期待できるとされています。ただし眠気やめまいが出ることがあり、服用後しばらくは車の運転ができません。
リメゲパント(ナルティーク)は、片頭痛に関わるCGRPという物質の働きをおさえる飲み薬です。発作が起きたときの治療と、発作を減らす予防の両方に使えるという特徴があります。
この2剤については、次回の記事であらためて詳しくご紹介します。
漢方が合う方もいらっしゃいます
薬を飲む日数が増えてきた方、西洋薬だけでは落ち着かない方には、漢方薬という選択肢があります。片頭痛の予防を目的として、ガイドラインでも取り上げられています。
当院でよく用いるのが、五苓散(ごれいさん)と呉茱萸湯(ごしゅゆとう)です。
五苓散は、体の中の水分の偏りを整える漢方です。
天気が崩れる前や台風が近づくと頭が痛くなる方、むくみやめまい、吐き気をともなう方に向いています。気圧の変化で不調が出る方には、まずこちらを試すことが多い処方です。
呉茱萸湯は、冷えや肩こり、吐き気をともなう頭痛に用います。
手足が冷えやすい方、頭痛のときに温めると楽になる方に合いやすい漢方です。
この2つを組み合わせて使うこともあります。
発作が起きた瞬間に効かせる薬ではなく、続けることで頭痛の起こりにくい状態を目指す薬です。効果の判断には、少なくとも1〜2か月ほどみていきます。
「痛み止めを飲む日を減らしたい」「西洋薬をできるだけ増やしたくない」という方に、無理なく足せる選択肢です。妊娠中や授乳中の方、他の薬を飲んでいる方は、診察時にお伝えください。
こんな症状はありませんか?
トリプタンとの付き合い方を振り返るチェックです。当てはまるものを数えてみてください。
- トリプタンを使う日が、1か月に10日以上ある
- 1回では効かず、追加して飲むことが多い
- いったん効いても、その日のうちにぶり返す
- 吐き気が強く、飲んでも吐いてしまう
- 痛くなりそうな日に、予防のつもりで先に飲んでいる
- 手持ちが足りず、市販の痛み止めで補っている
ひとつでも当てはまる方は、薬の種類や飲み方を見直す時期かもしれません。
特に、トリプタンを使う日が1か月に10日以上、それが3か月を超えて続いている場合は、薬剤の使用過多による頭痛(やくざいのしようかたによるずつう)になっている可能性があります。薬そのものが頭痛を起こりやすくしてしまう状態です。
この場合、発作時の薬を調整するだけでなく、発作の回数そのものを減らす予防治療や漢方を組み合わせていきます。我慢して回数を減らすことが解決にはなりません。
次のような頭痛は、別の病気が原因となっている可能性があります。
- 今までに経験したことがない、突然の激しい頭痛
- 手足が動かしにくい、しびれる、ろれつが回らない
- 発熱や首のこわばりを伴う
- 頭痛が日に日に強くなっている
当てはまる場合は、手持ちの薬で様子を見ず、早めの受診をご検討ください。突然の激しい頭痛や意識の異常があるときは、救急要請を含めた緊急の対応が必要です。
当院でできること
当院では、これまでに使ってきた薬の種類と効き方をうかがったうえで、5種類のトリプタンや剤形の中から、生活に合うものをご提案しています。
痛み止めとの併用の仕方、飲むタイミングの調整、漢方の併用についてもご相談いただけます。
発作の回数が多い方には、予防治療もご案内しています。頭痛ダイアリーを使って、発作の日数と薬を飲んだ日数を一緒に確認していきます。
別の病気による頭痛が疑われる場合は、院内で頭部CT検査を行うことができます。必要に応じて、連携施設での頭部MRI検査や、陣の内脳神経外科との連携により対応いたします。
まとめ
・トリプタンは国内に5種類。速さ、持続時間、薬の形が違います
・1種類が効かなくても、別の成分や剤形で楽になる方がいます
・使う日数が増えてきたら、漢方や予防治療を含めて組み立て直す時期です
「この薬は効かなかった」で終わらせず、一度ご相談ください。
記事中に挙げた薬剤は、いずれも国内で承認されている医療用医薬品です。効果やあらわれる副作用には個人差があり、すべての方に使用できるわけではありません。お持ちの病気や併用中のお薬、妊娠・授乳の状況によっては使用できない場合があります。使用には医師の診察と処方が必要です。保険診療として行っており、費用は診療内容によって異なります。ご不明な点は当院(電話 092-791-3985)までお問い合わせください。
※本文中の目安は、『頭痛の診療ガイドライン2021』(日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修)、『国際頭痛分類 第3版』および各薬剤の添付文書を参考にしています。
診察のご予約はこちらから🌿
https://patient.digikar-smart.jp/institutions/626d04ef-a5e9-49cf-bb68-8a2644ee4661/reserve

下記のQRコードよりアプリのダウンロードも大変便利です。

以上、【トリプタンの基本|5種類ある片頭痛の治療薬、その使い分け】でした。
『福岡に医療で貢献する』ことを目標に、患者様へより良いサービスを提供できるように日々精進してまいります。
引き続き、福岡天神頭痛と肺のクリニックをどうぞよろしくお願いいたします。
コメント