Web予約はこちらをクリックしてください。

福岡天神頭痛と肺のクリニック | 公式ホームページ

予約
LINE
メール
電話
健康コラム

その咳、8週間を超えていませんか? ― 長引く咳と「咳の過敏」

日頃より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
福岡天神頭痛と肺のクリニックでございます。

「風邪はとっくに治ったのに、咳だけがもう2か月続いています」
「会議中に咳き込んでしまうので、人に会うのが憂うつです」
「咳止めをもらっても、あまり変わらない気がします」

こんな経験はありませんか?

咳が数週間、ときには数か月も続く。
検査で大きな異常は見つからない。それでも咳は治まらない。

今回は、長く続く咳の背景にある「咳の過敏」という考え方と、
最近報告された研究について、やさしくお伝えします。


■ 咳は「続いた長さ」で分けて考えます

咳は、続いた期間によって3つに分けられます。

3週間未満を急性咳嗽(きゅうせいがいそう)、
3〜8週間を遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)、
8週間以上を慢性咳嗽(まんせいがいそう)と呼びます。
(日本呼吸器学会『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』)

短い咳の多くは、かぜなどの感染症によるものです。
ところが期間が長くなるほど、感染症以外の原因の割合が増えていきます。

以前のコラムでお伝えした「夏風邪のあとに残る咳」は、
主に3〜8週間の咳のお話でした。
今回は、そこを超えて続く咳について取り上げます。


■ なぜ咳だけが残るの?

咳は、のどや気管を守るための反射です。
ほこりや異物が入ったとき、体はそれを外に出そうとして咳をします。

ところが炎症が治まったあとも、
この反射のスイッチが敏感なまま残ることがあります。

そうなると、ふだんなら咳が出ないような弱い刺激でも咳が出ます。
冷たい空気、乾燥、香り、長電話。
こうしたものが引き金になる方もいらっしゃいます。

そして咳をすると、のどはさらに刺激を受けます。
また咳が出る。この繰り返しで長引くことがあります。


■ 「咳の過敏」という考え方

近年は、こうした状態を
咳過敏症症候群(せきかびんしょうしょうこうぐん)としてとらえる考え方があります。

ガイドラインでは、わずかな冷たさや、化学的・機械的な刺激をきっかけに、
治りにくい咳が出る状態と説明されています。
(日本呼吸器学会『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』第4章)

のどのイガイガ感が続く。しゃべり始めると咳が出る。
そうした訴えが多いことも知られています。

これは「気のせい」でも「心が弱いから」でもありません。
神経の反応が過敏になっている状態と考えられています。


■ 原因は「のどの過敏」だけではありません

長引く咳の原因は、ひとつとは限りません。
たとえば、次のようなものがあります。

・咳喘息(せきぜんそく)=ゼーゼーを伴わず、咳だけが出る喘息
・副鼻腔気管支症候群(ふくびくうきかんしししょうこうぐん)=副鼻腔と気管支の炎症が重なる状態
・胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)=胃酸がのどの方へ戻る
・アトピー咳嗽(がいそう)/喉頭アレルギー
・感染後咳嗽(かんせんごがいそう)=かぜのあとに咳だけが残る状態
・お薬の影響(一部の血圧のお薬など)
・たばこの煙

日本では、咳喘息や喘息の頻度が高いと報告されています。
(同ガイドライン)

複数が重なっていることもあります。
ですから決めつけずに、順番に確かめていくことが大切です。


■ 咳を長引かせないために

ご自宅でできることもあります。

・たばこをやめる。受動喫煙も避ける
・マスクで、咳を誘う刺激を避ける
・こまめな飲水や飴で、のどを潤す
・室内の乾燥を防ぐ
・大声や長電話を控えめにする

これらはガイドラインでも患者さんへの指導として挙げられています。
それでも咳が続く場合は、一度ご相談ください。


■ 難治性の咳の治療は、いま動いています

原因を調べて治療しても、なお残ってしまう咳があります。
こうした咳は、難治性の慢性咳嗽と呼ばれています。

国内では2022年に、P2X3受容体拮抗薬という新しい種類のお薬
(一般名:ゲーファピキサント)が使えるようになりました。
ガイドラインでも、使用が弱く推奨されています。
ただし味覚の変化が高い頻度で起こることが知られています。
(同ガイドライン)

一方で、このお薬は、肺そのものがかたくなっていく病気である
特発性肺線維症(とくはつせいはいせんいしょう)に伴う咳では、
有効性が示されなかったとも記されています。

そこに、新しい報告が出ました。

2026年8月、呼吸器の専門誌『Chest』に、
特発性肺線維症の咳を対象とした研究が発表されました。

海外の1つの病院で、68名の患者さんを対象に行われた研究です。
ガバペンチン(一般名)というお薬を12週間続けた方と、
そうでない方を比べています。

ガバペンチンは、もともとてんかんや神経の痛みに使われるお薬で、
神経の過敏を抑えるお薬のひとつに数えられます。

咳の症状スコアが半分以下に減った方の割合は、
お薬を飲んだ方で73.5%、飲まなかった方で26.5%と報告されています。
一方で、眠気・だるさ・めまいなどが、
お薬を飲んだ方の32.4%、飲まなかった方の8.8%にみられたとされています。
(Zhou Y ほか、Chest、2026年)

この研究を読むときの注意点です。

  • 日本では、ガバペンチンは咳の治療薬として承認されていません(適応外)。国内のガイドラインでも、この種類のお薬はモルヒネを除き咳には適応外と記されています
  • 68名という小さな研究です。日本の患者さんで同じ結果になるかは、まだわかりません
  • 特発性肺線維症に伴う咳を対象とした研究です。長引く咳のすべてに当てはまる話ではありません
  • 当院がこの治療を行っている、という意味ではありません

新しい報告は、これからの治療を考える手がかりになります。
ただし、そのまま日常の診療にあてはめられるとは限りません。
当院では、こうした報告も見ながら、目の前の症状を丁寧に確かめていきます。


■ こんな症状はありませんか?

  • 咳だけが8週間以上続いている
  • 夜中や明け方に咳き込んで目が覚める
  • 冷たい空気や会話が、咳の引き金になる
  • のどのイガイガ感がずっと取れない
  • 市販の咳止めを飲んでも変わらない
  • 階段や坂道で、以前より息が切れる

いくつか当てはまる方は、一度ご相談いただくことをおすすめします。


■ 「いつもの咳」と思い込まないでほしい症状

次の症状があるときは、早めの受診をご検討ください。

・血のまじった痰が出る
・息苦しさがある
・胸の痛みを伴う
・体重が思わぬペースで減ってきた
・発熱が続いている

ガイドラインでも、こうした症状は注意すべきサインとして挙げられています。


■ 当院でできること

ガイドラインは、まず肺炎・肺結核・肺がん・間質性肺炎など、
急を要する病気を見落とさないことを大切にしています。

当院では、丁寧な問診に加えて、
胸のレントゲン(AIによる読影支援を併用しています)、
被ばく量を抑えた低線量CT、
その日のうちに結果が出るCRP(炎症の数値)、
指先の採血で調べるアレルギー8項目などをご用意しています。

そのうえで、原因に合わせた治療をご提案します。
「たかが咳」と我慢せず、お気軽にご相談ください。


■ まとめ

8週間を超えて続く咳の背景には、咳の反射が過敏になっている状態が隠れていることがあります。

原因はひとつとは限らず、順番に確かめていくことが大切です。

海外では新しい治療の研究も進んでいますが、日本で咳に使えるお薬とは限りません。まずはご相談ください。


■ 今回の記事の根拠

  • 日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2025作成委員会(編)『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』メディカルレビュー社、2025年
    (咳の分類と原因疾患:第2章2-2/咳嗽診療の原則:第2章2-6/咳嗽治療薬:第2章2-9/難治性慢性咳嗽・咳過敏症症候群:第4章L)
  • Zhou Y, et al. Efficacy and safety of gabapentin for treatment of cough in idiopathic pulmonary fibrosis: a randomized, double-blinded, placebo-controlled clinical trial. Chest. 2026 Aug 29.(オンライン先行公開)

診察のご予約はこちらから🌿
https://patient.digikar-smart.jp/institutions/626d04ef-a5e9-49cf-bb68-8a2644ee4661/reserve
下記のQRコードよりアプリのダウンロードも大変便利です。

以上、【その咳、8週間を超えていませんか? ― 長引く咳と「咳の過敏」】でした。
『福岡に医療で貢献する』ことを目標に、患者様へより良いサービスを提供できるように日々精進してまいります。
引き続き、福岡天神頭痛と肺のクリニックをどうぞよろしくお願いいたします。

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


関連記事

PAGE TOP