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健康コラム

「尿酸値が高め」と言われたら?高尿酸血症・痛風と脳卒中の関係【生活習慣病シリーズ第4回】

日頃より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
福岡天神頭痛と肺のクリニックでございます。

「健診で尿酸値が高いと言われましたが、痛風の発作は起きていません」

「足の親指の付け根が急に腫れて、歩けないほど痛くなりました」

「ビールさえ控えれば、大丈夫でしょうか」

健康診断の結果で、「尿酸」の欄に印がついていたことはありませんか?

「生活習慣病シリーズ」の最終回となる第4回は、高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)と痛風です。
尿酸値が高いと痛風になる、と思われがちですが、それだけではありません。

数値の目安から、痛風発作、脳卒中との関係、食事、薬の種類まで、まとめてお伝えします。

「尿酸値が高め」と言われたら?高尿酸血症・痛風と脳卒中の関係【生活習慣病シリーズ第4回】 記事のポイント図解

高尿酸血症は、症状がないまま進みます

尿酸は、体の中で古くなった細胞などが分解されてできる物質です。
食べ物に含まれるプリン体からも作られ、主に尿から体の外へ出ていきます。

作られる量が多すぎたり、出ていく量が少なかったりすると、血液中の尿酸が増えます。
この状態が高尿酸血症です。

痛風で通院している方は約130万人、高尿酸血症の方は約1,000万人と推定されています(痛風・尿酸財団)。
ほとんどの場合は症状がなく、健診で初めて気づく方が多い病気です。


健診の数値の「目安」を知っておきましょう

血液中の尿酸値(血清尿酸値)が7.0mg/dLを超えると、高尿酸血症とされます。
男女や年齢に関係なく、同じ基準です(日本痛風・尿酸核酸学会)。

尿酸は、7.0mg/dLを超えると血液に溶けきれなくなり、結晶になりやすくなります。
この結晶が関節にたまると、痛風の原因になります。

女性は、閉経前は女性ホルモンの働きで尿酸値が上がりにくいとされます。
そのため高尿酸血症や痛風は男性に多く、閉経後の女性でも増えてきます。

診療案内:検診


突然の激しい痛み「痛風発作」

関節にたまった尿酸の結晶に体が反応して、強い炎症が起こるのが痛風発作です。
足の親指の付け根に起こることが多く、足首やひざに起こることもあります。

  • 夜中や明け方に、突然強い痛みが出る
  • 関節が赤く腫れて熱をもち、靴がはけない、歩けないほど痛む
  • 多くは1〜2週間ほどで治まるが、くり返しやすい

痛みが治まっても、尿酸値が高いままでは結晶は残り、発作をくり返します。
放っておくと、皮膚の下に尿酸のかたまり(痛風結節)ができたり、関節が変形したりすることがあります。

発作の痛みには、主に次の3種類の薬を使います。
持病や、ほかに飲んでいる薬をふまえて選びます。

  • NSAIDs(エヌセイズ:炎症を抑える痛み止め)
  • コルヒチン(商品名もコルヒチン):発作の前ぶれや、起こり始めに飲むと効きやすい薬
  • ステロイドの飲み薬:腎臓の働きが落ちている方など、ほかの薬が使いにくいときに

尿酸を下げる薬は、発作が治まってから始めます。
すでに飲んでいる方は、発作中もやめずに続けるのが基本です。
自己判断で薬を調整せず、ご相談ください。

関連記事:鎮痛薬の基本|アセトアミノフェンとNSAIDs、その使い分け(改訂版)


尿酸値が高いと、脳卒中のリスクも上がります

高尿酸血症は、痛風だけの問題ではありません。
脳卒中を起こしやすくなる、リスクのひとつと考えられています。

16の研究をまとめた解析(メタ解析)では、尿酸値が高い人は、脳卒中を起こす危険が約1.5倍でした。
年齢・血圧・糖尿病・コレステロールの影響を除いても、この関係は残りました(Arthritis Rheum 2009)。

日本人を対象にした大規模な研究でも、尿酸値が高いグループで脳卒中が多かったと報告されています。
福岡県の久山町研究でも、尿酸値が高い方で脳卒中による死亡が多くみられました。
ただし、研究によって結果に差があり、議論が続いています。

尿酸値が高い方は、高血圧になりやすいことも報告されています。
第1回の高血圧、第2回の脂質異常症、第3回の糖尿病と重なると、血管への負担はさらに大きくなります。

また、薬で尿酸値を下げると脳卒中が減るかどうかも、まだはっきりしていません。
尿酸値だけでなく、血圧・血糖・コレステロールをまとめて整えることが大切です。

関連記事:胸部CTでわかる冠動脈石灰化とは|当院が評価を大切にする理由


腎臓や尿路結石にも影響します

尿酸の結晶は、腎臓にたまって腎臓の働きを落とすことがあります(痛風腎)。
尿の中で固まると、尿路結石の原因にもなります。

尿が酸性に傾いていると、尿酸は溶けにくくなります。
野菜や海藻をとり、水分を多めにとることが、結石の予防にもつながります。


まずは、管理栄養士と食事と生活を見直します

「ビールだけ控えれば大丈夫」と思われがちですが、見直すポイントはほかにもあります。
当院では、管理栄養士がふだんの食事をうかがい、続けやすい方法を一緒に考えます。

  • レバー・白子・魚の干物などプリン体の多い食品をとりすぎない(1日400mg程度が目安)
  • お酒はビールに限らず控えめに(目安:日本酒1合、ビール350〜500mL、ウイスキー60mLまで)
  • 果糖を多く含む甘い飲み物や果物ジュースを控える
  • 水分をこまめにとり、尿の量を1日2,000mL以上に保つ
  • 野菜・海藻・きのこで、尿を酸性に傾けにくくする
  • ウォーキングなどの有酸素運動を続ける(息が上がる激しい運動は尿酸値を上げることがあります)
  • 急な減量は避け、少しずつ適正体重に近づける

第1回でお伝えした減塩、第2回・第3回の食事の工夫とも、重なる部分が多くあります。
生活習慣病は、まとめて見直すのが近道です。


尿酸値を下げる薬の種類と、注意したい点

痛風発作をくり返す方や痛風結節がある方は、尿酸値を下げる薬を使います。
目標は、尿酸値6.0mg/dL以下を保つことです。

発作がない方でも、次の場合は薬を考えます。

  • 尿酸値が8.0mg/dL以上で、腎臓の病気・尿路結石・高血圧・糖尿病などがある
  • 尿酸値が9.0mg/dL以上

発作がない方の薬は、良い点と注意点をご説明し、納得していただいたうえで始めます。

薬を選ぶときに確かめること

尿酸値を下げる薬は、大きく2つのタイプに分かれます。
以前は、尿酸が「作られすぎている」か「出にくくなっている」かで選ぶのが基本でした。
今は、どちらの場合でも、尿酸を作られにくくする薬が効くことがわかってきました。

そのため当院では、次の点を確かめて薬を選びます。

  • 腎臓の働き(eGFR)がどのくらいか
  • 尿路結石がある、またはあったことがあるか
  • 肝臓の数値に異常がないか
  • 心臓や血管の病気があるか
  • ほかに飲んでいる薬(血液をサラサラにする薬、免疫を抑える薬など)
  • 1日に何回なら飲み続けやすいか

腎臓の働きが大きく落ちている方や、尿路結石がある方には、尿酸を作られにくくする薬が向いています。
1種類で目標に届かないときは、2つのタイプを組み合わせることもあります。

尿酸を作られにくくする薬

体の中で尿酸が作られるのを抑える薬です。
尿に出る尿酸も減るため、尿路結石がある方にも使えます。

  • アロプリノール(商品名:ザイロリック):50年以上使われてきた薬です。腎臓の働きが落ちている方では、量を減らして使います。
  • フェブキソスタット(商品名:フェブリク):1日1回の薬です。腎臓の働きが中等度まで落ちていても、量を減らさずに使えます。
  • トピロキソスタット(商品名:トピロリック、ウリアデック):1日2回の薬です。腎臓の働きが中等度まで落ちていても、量を減らさずに使えます。

アロプリノールでは、まれに重い皮膚の副作用が出ることがあります。
飲み始めて発疹や発熱が出たときは、すぐにご相談ください。

フェブキソスタットとトピロキソスタットは、一部の免疫を抑える薬(アザチオプリンなど)と一緒に使えません。
また、海外の研究をふまえ、心臓や血管の病気がある方への注意が添付文書に加えられました。
日本の調査では、心臓や血管の病気が増える傾向はみられていません。

尿酸を尿に出しやすくする薬

腎臓で尿酸が体に戻るのを抑えて、尿に出しやすくする薬です。
高血圧に伴う高尿酸血症は尿酸が出にくいタイプが多く、この薬がよく効きます。

  • ベンズブロマロン(商品名:ユリノーム):長く使われている薬です。まれに重い肝臓の障害が起こるため、飲み始めて少なくとも6か月は、定期的に肝臓の数値を確認します。肝臓の病気がある方には使いません。血液をサラサラにする薬(ワルファリン)との飲み合わせにも注意します。
  • ドチヌラド(商品名:ユリス):2020年から使えるようになった、1日1回の薬です。肝臓への影響や飲み合わせの問題を減らすことを目指して、日本で開発されました。

どちらも尿に出る尿酸が増えるため、尿路結石がある方には原則として使いません。
使うときは、水分を多めにとって尿の量を保ちます。
尿をアルカリ性に近づける、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム(商品名:ウラリット)を使うこともあります。
腎臓の働きが大きく落ちていると、効きにくくなります。

発作の治療と予防に使う「コルヒチン」

コルヒチンは、痛風発作の炎症を抑える薬です。
当院では、発作の治療と予防の両方でよく使っています。

  • 発作の前ぶれ(ムズムズする、違和感がある)や、起こり始めに飲むと効きやすい
  • 尿酸を下げる薬を始めたころの発作を防ぐため、少量を3〜6か月ほど続けることがある

一方で、量が多いと副作用が出やすい薬でもあります。
下痢などおなかの症状が多く、まれに筋肉や血液、神経の副作用が出ることがあります。
決められた量とタイミングを守り、自己判断で増やさないでください。

飲み合わせにも注意が必要です。
一部の抗菌薬(クラリスロマイシンなど)やグレープフルーツで、副作用が出やすくなることがあります。
第2回で紹介したスタチンと一緒に使うときは、筋肉の症状に気をつけます。
腎臓や肝臓の働きが落ちている方も、量の調整が必要です。
受診の際は、お薬手帳をお持ちください。

薬を使うときに知っておきたいこと

尿酸を下げる薬を飲み始めたころは、尿酸値が動くことで、かえって発作が起きやすくなることがあります。
そのため、少ない量から始めて、1〜2か月ごとにゆっくり増やしていきます。

血圧の薬の中には、尿酸値を上げるもの(第1回で紹介した利尿薬など)と、下げる働きをもつものがあります。
第3回で紹介したSGLT2阻害薬にも、尿酸値を下げる働きがあると報告されています。
ほかの病気の薬もふまえて、組み合わせを考えます。

痛みが治まっても、自己判断で薬をやめると尿酸値は元に戻ります。
減らしたい、やめたいと思ったときは、必ずご相談ください。


「ただの痛風」と思い込まないでほしい症状

次のような症状が急に出たときは、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。

  • 片側の手足が動かしにくい、しびれる
  • ろれつが回らない、言葉が出にくい
  • 顔の片側がゆがむ
  • 胸が強く痛む、締めつけられる感じが続く

関節の腫れに高い熱を伴うときや、わき腹・背中の激しい痛みや血尿があるときは、早めに受診してください。


こんなことはありませんか?

  • 健診で尿酸値が7.0mg/dLを超えていると言われた
  • 足の親指の付け根などが、急に腫れて痛くなったことがある
  • お酒をよく飲む、甘い飲み物をよく飲む
  • 血圧や血糖、コレステロールも高めと言われている
  • 尿路結石になったことがある
  • 家族に痛風や脳卒中の人がいる

当院でできること

当院では、高尿酸血症・痛風の診断から治療、継続した管理まで行っています。

  • 尿酸値や腎臓・肝臓の働きを確かめる血液検査
  • 当日結果がわかる尿検査(尿の酸性度や血尿の確認)
  • 当日結果がわかるHbA1c・LDLコレステロールの検査
  • 痛風発作の治療・予防の薬(コルヒチンなど)と、尿酸値を下げる薬の処方・調整
  • 管理栄養士による、食事やお酒の見直しのご相談
  • 血圧・血糖・コレステロールを含めた、生活習慣病のまとめての管理

診療案内:血液検査
診療案内:一般内科外来


まとめ

尿酸値が7.0mg/dLを超える高尿酸血症は、痛風だけでなく、脳卒中のリスクのひとつとされています。
まずは食事・お酒・水分を見直し、必要に応じて薬で尿酸値6.0mg/dL以下を目指します。
薬は、腎臓の働きや尿路結石の有無、ほかに飲んでいる薬をふまえて選びます。
4つの生活習慣病は重なりやすいので、健診で「高め」と言われたら、まとめてご相談ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断や治療方針を示すものではありません。内容は掲載時点の情報にもとづいています。記事中の薬剤は代表的な例で、実際に使う薬の種類や量は、尿酸値や持病、体質などをふまえて医師が判断します。後発医薬品(ジェネリック医薬品)を使う場合もあります。食事やお酒の量の目安は一般的なもので、持病によって異なります。自己判断での服薬の中止や変更はお控えください。検査や薬剤の使用には医師の診察が必要で、費用は診療内容によって異なります。ご不明な点は当院(電話 092-791-3985)までお問い合わせください。


今回の記事の根拠

・日本痛風・核酸代謝学会(現 日本痛風・尿酸核酸学会)ガイドライン改訂委員会編『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』診断と治療社, 2018(定義、治療の目安と目標、生活指導)
・日本痛風・尿酸核酸学会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]』2022(薬の種類と選び方、コルヒチン、尿路の管理、心臓や血管との関係)
・公益財団法人 痛風・尿酸財団「2025年度 事業報告書」(患者数の推定)
・Kim SY, et al. Hyperuricemia and risk of stroke: a systematic review and meta-analysis. Arthritis Rheum. 2009;61(7):885-892.(doi.org/10.1002/art.24612)(脳卒中のリスク)
・Kamei K, et al. Associations between serum uric acid levels and the incidence of nonfatal stroke: a nationwide community-based cohort study. Clin Exp Nephrol. 2016.(doi.org/10.1007/s10157-016-1311-7)(日本人の脳卒中)
・Sakata S, et al. Serum uric acid levels and cardiovascular mortality in a general Japanese population: the Hisayama Study. Hypertens Res. 2020.(doi.org/10.1038/s41440-019-0390-8)(久山町研究)
・Kuwabara M, et al. Uric Acid Is a Strong Risk Marker for Developing Hypertension From Prehypertension: A 5-Year Japanese Cohort Study. Hypertension. 2017.(doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.117.10370)(高血圧との関係)


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以上、【「尿酸値が高め」と言われたら?高尿酸血症・痛風と脳卒中の関係(生活習慣病シリーズ第4回)】でした。
『福岡に医療で貢献する』ことを目標に、患者様へより良いサービスを提供できるように日々精進してまいります。
引き続き、福岡天神頭痛と肺のクリニックをどうぞよろしくお願いいたします。

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