日頃より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
福岡天神頭痛と肺のクリニックでございます。
「夏は落ち着いていた血圧が、寒くなってから健診で高めと言われました」
「家で測ると、朝だけ血圧が高いんです」
「冬の朝、脱衣所やトイレが寒くて、ヒヤッとすることがあります」
こんな経験はありませんか。
血圧は一年中同じではなく、寒くなると上がりやすくなります。
特に冬の朝は、脳卒中や心筋梗塞に注意が必要な時間帯です。
今回は、冬に血圧が上がるしくみと、家庭血圧の測り方、室温の工夫をお伝えします。

冬は血圧が上がりやすい季節です
寒さを感じると、体は熱を逃がさないように血管を縮めます。
同時に、体を活動モードにする交感神経(こうかんしんけい)が働き、血圧が上がります。
冬は鍋や汁物、年末年始の外食で、塩分が増えやすい時期でもあります。
日本高血圧学会と日本循環器学会は、冬の血圧について緊急声明を出しています。
声明では、気温が下がる冬に、心不全・脳卒中・心筋梗塞による死亡が増えることが示されています。
朝晩が冷え込み始める今の時期から、気をつけたい季節です。
関連記事:胸部CTでわかる冠動脈石灰化とは|当院が評価を大切にする理由
「朝の血圧」と「室温」の深い関係
1日の中で血圧が最も上がりやすいのは、起きてすぐの時間帯です。
冬の朝は、寒い寝室や廊下で体が冷えたまま動き出すため、血圧がさらに上がります。
日本高血圧学会は、室温が10℃下がると朝の血圧が約8mmHg上がるというデータを紹介しています。
国土交通省の調査でも、室温が一年を通して安定している家では、血圧の季節による差が小さいと報告されています。
暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に移ると、血圧が急に大きく変わります。
これがヒートショックと呼ばれる状態で、冬の入浴中の事故につながることがあります。
診察室ではわからない「隠れた高血圧」
病院では正常なのに、家で測ると高い方がいます。
これを仮面高血圧(かめんこうけつあつ)といい、見逃されやすい高血圧です。
冬は朝だけ血圧が高い「早朝高血圧」が増えるため、学会は家庭での朝の測定を勧めています。
家庭血圧の目安は次のとおりです(日本高血圧学会のガイドライン2025)。
- 上135以上、または下85以上:高血圧の基準
- 上125未満かつ下75未満:治療中の方の目標(年齢にかかわらず。持病などで個別に決めます)
関連記事:「血圧が高め」と言われたら?高血圧の基本と2025年改訂の新しい目標【生活習慣病シリーズ第1回】
家庭血圧の正しい測り方
- 上腕(二の腕)に巻くタイプの血圧計を使う
- 朝:起きて1時間以内、トイレのあと、朝食と薬の前
- 夜:寝る前(入浴や飲酒の直後は避ける)
- いすに座って1〜2分休み、カフを心臓の高さにして測る
- 1回に2回測り、平均を記録する
寒い部屋で測ると、高く出ることがあります。
毎日なるべく同じ条件で測り、高いときは部屋が寒くなかったかもメモしておきましょう。
記録は手帳やアプリにつけ、受診のときにお持ちください。
血圧を下げることの大切さ ― 最新の研究から
2026年10月、医学誌「JAMA Cardiology」に新しい解析が発表されました。
血圧の下げ方を比べた27の試験(約8万9千人)をまとめたものです。
上の血圧が10mmHg低くなるごとに、心筋梗塞や脳卒中などの病気が約15%少なくなっていました。
腎臓の病気がある方でも、ない方でも、同じ傾向でした。
一方で、血圧をしっかり下げたグループでは、腎臓の働きを示す数値(eGFR)が下がる人が増えていました。
ただし、透析が必要になるような腎不全は増えていませんでした。
血圧の下げ方は、年齢や持病、腎臓の数値を見ながら、一人ひとりに合わせて決めます。
冬の血圧を上げないために
- 起きる前後の部屋を暖める(学会は18〜22℃以上を勧めています)。脱衣所・浴室・トイレも暖め、家の中の温度差を小さくする
- お湯は41℃以下、湯につかるのは10分までを目安に。食後すぐや飲酒後の入浴は控える
- 起きてすぐ急に動かず、深呼吸や温かい飲み物でゆっくり体を起こす
- 鍋や汁物、外食では塩分を控えめに。運動は日中の暖かい時間に
- 冬に血圧が上がっても、自己判断で薬を増やしたり減らしたりしない
「いつもの血圧」と思い込まないでほしい症状
次のような症状が急に出たときは、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
- 片側の手足が動かしにくい、しびれる
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 顔の片側がゆがむ
- 突然の、これまでにない激しい頭痛
- 胸の強い痛みや締めつけ感が続く、冷や汗が出る
激しい頭痛では、くも膜下出血などの鑑別が必ず必要です。
こんな症状はありませんか?
- 寒くなってから、健診や家で測る血圧が高くなった
- 朝に測ると、夜より血圧が高いことが多い
- 病院では正常と言われるが、家で測ると高い
- 血圧の薬を飲んでいるが、冬の薬の量を相談したことがない
- 寝室・脱衣所・トイレが寒い家に住んでいる
- いびきが大きい、日中に強い眠気がある
当院でできること
- 診察室の血圧と家庭血圧の記録をもとにした、高血圧の診断と治療
- 季節や家庭血圧の変化に合わせた、血圧の薬の調整
- 心電図、血液検査、尿検査(当日結果のHbA1c・LDLコレステロール・尿検査を含む)で、心臓・腎臓やほかの生活習慣病を確認
- 管理栄養士による、減塩など食事のご相談
- 睡眠時無呼吸の検査と治療(睡眠時無呼吸は、朝の高血圧の原因になることがあります)
- 頭部CT(激しい頭痛などで必要な場合。当日の撮影にも対応)
まとめ
・寒さで血管が縮み、冬、とくに朝は血圧が上がりやすくなります
・朝と夜の家庭血圧を記録し、起きる前後の部屋や脱衣所を暖めましょう
・上の血圧が10下がると、心臓や脳の病気が約15%減るという研究もあります。気になる数値は早めにご相談ください
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断や治療方針を示すものではありません。内容は掲載時点の情報にもとづいています。症状のあらわれ方や、検査・治療の必要性は患者さんごとに異なります。血圧の目標や薬の量は、年齢や持病などをふまえて医師が判断します。自己判断での服薬の中止や変更はお控えください。記載した検査や治療には医師の診察が必要で、費用は診療内容によって異なります。ご不明な点は当院(電話 092-791-3985)までお問い合わせください。
今回の記事の根拠
・日本高血圧学会・日本循環器学会 緊急声明「冬こそ血圧朝活!―冷えとヒートショックから身を守る―」(室温と朝の血圧、冬の循環器疾患)
・日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』(家庭血圧の基準と降圧目標、家庭血圧の測り方)
・Iatridi F, et al. Intensive vs Standard Blood Pressure Lowering in People With and Without Chronic Kidney Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Cardiol. 2026.(https://doi.org/10.1001/jamacardio.2026.4445)
・国土交通省「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査の中間報告(第3回)」(室温と血圧の季節差)
・消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください」(入浴の目安)
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下記よりデジスマ診察券アプリのダウンロードも大変便利です。
以上、【朝の血圧、冬は上がっていませんか? ― 家庭血圧と室温で脳と心臓を守る】でした。
『福岡に医療で貢献する』ことを目標に、患者様へより良いサービスを提供できるように日々精進してまいります。
引き続き、福岡天神頭痛と肺のクリニックをどうぞよろしくお願いいたします。
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