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健康コラム

肺がん検診、「異常なし」1回で終わりにしていませんか? ― 喫煙歴のある方の低線量CT

日頃より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
福岡天神頭痛と肺のクリニックでございます。

「数年前に人間ドックで肺のCTを受けて『異常なし』でした。もう受けなくても大丈夫ですよね?」

「たばこは10年前にやめました。昔の喫煙も、まだ関係があるのでしょうか?」

「加熱式たばこに替えたので、肺のことはあまり心配していません。」

こんな経験はありませんか。
一度「異常なし」と言われてほっとし、その後の検診から足が遠のいてしまう。
けれども、たばこを多く吸ってきた方の肺がんのリスクは、1回の検査で消えるわけではありません。
今回は、たばこを多く吸ってきた方を約10年追いかけた研究から、肺がん検診を「続ける」大切さをご紹介します。

肺がん検診、「異常なし」1回で終わりにしていませんか? ― 喫煙歴のある方の低線量CT 記事のポイント図解

肺がんは、早い段階では症状が出にくいがんです

肺がんは、日本でがんにより亡くなる方が最も多いがんです(2024年)。
早い段階では、咳や痰などの症状がほとんど出ないことがあります。
症状がきっかけで見つかったときには、がんが進んでいることもあります。

そのため、症状がないうちに見つける「検診」が大切になります。
特に、たばこを長く吸ってきた方は、肺がんのリスクが高いことが知られています。

関連記事:その咳、いつまで様子を見ていい?〜長引く咳の原因と受診の目安


約10年の追跡でわかったこと

2026年9月、肺がん検診を約10年続けた結果が、医学誌「Lung Cancer」に発表されました。
イタリアの研究で、たばこを多く吸ってきた50〜75歳の4,119人が参加しました。
今も吸っている方と、すでにやめた方の両方が含まれています。

最初の低線量CT(ていせんりょうシーティー:被ばくをおさえたCT)の結果で、2つのグループに分けて経過をみました。

  • 最初に「気になる影」があった人(655人):約10年で21.8%が肺がんと診断
  • 最初は「異常なし」だった人(3,464人):約10年で3.0%(約100人)が肺がんと診断

どの時期に見つかった肺がんも、おおむね半数以上がI期(いっき:がんが小さく、広がっていない早い段階)でした。


「一度、異常なし」で終わりにしないでほしい理由

最初のCTで異常がなくても、その後の年月の中で、新しく肺がんができることがあります。
この研究でも、最初に「異常なし」だった人から、3年目以降も肺がんが見つかり続けました。

一方で、検診を続けた人の割合は、3〜5年目の92%から、9年目以降は58%まで下がっていました。
著者らは、最初にリスクが低いとされた人も含めて、検診を続けることを勧めています。

なお、この研究は1つの施設で行われたもので、検診で命が救われる効果を直接確かめたものではありません。


ガイドラインでは、だれに低線量CT検診が勧められている?

2025年4月、国立がん研究センターの「肺がん検診ガイドライン」が、2006年度版以来の改訂となりました。

  • 50〜74歳で、喫煙指数(きつえんしすう)が600以上の方:年1回の低線量CT検診が勧められています
  • 喫煙指数は「1日に吸う本数×吸った年数」です(例:1日20本×30年=600)
  • やめた方も、吸っていた年数で計算します。加熱式たばこは、カートリッジの本数で数えます
  • 40〜79歳の方:喫煙歴にかかわらず、年1回の胸部X線検査が勧められています

喫煙指数が600未満の方や、たばこを吸わない方の低線量CT検診は、効果がまだ十分に確かめられていません。
国内で研究が続いており、受けるかどうかは利益と不利益を知ったうえで決めることが勧められています。

診療案内:CTスキャン


低線量CT検診の「利益」と「不利益」

低線量CTは、胸部X線では見えにくい小さな影を見つけやすい検査です。
一方で、知っておいていただきたい不利益もあります。

  • 要精密検査:5〜10%の方が「精密検査が必要」となり、結果としてがんではないこともあります
  • 過剰診断(かじょうしんだん):一生、命に関わらないがんまで見つけてしまうことがあります
  • 被ばく:一般的な低線量CTで1回平均約1mSv(ミリシーベルト)です。通常の胸部CT(平均約7mSv)より少ないものの、ゼロではありません
  • 肺以外の所見:心臓の血管の石灰化など、ほかの所見が見つかることがあります

当院のCTには、被ばくをおさえる技術「AiCE」を搭載しています(くわしくは「当院でできること」をご覧ください)。

関連記事:胸部CTでわかる冠動脈石灰化とは|当院が評価を大切にする理由


「いつもの咳」と思い込まないでほしい症状

次のような症状があるときは、検診を待たずに、早めにご相談ください。

  • 痰に血が混じる
  • 咳が2週間以上続いている
  • 声のかすれが続いている
  • 胸や背中の痛みが続いている
  • 食事は変わらないのに、体重が減ってきた

症状がある場合の検査は、検診ではなく保険診療で行います。


こんな症状はありませんか?

  • 咳や痰が、以前より増えてきた
  • 階段や坂道で、息切れしやすくなった
  • たばこを吸っている、または以前吸っていた
  • 喫煙指数(1日の本数×年数)が600以上ある
  • 加熱式たばこに替えてから、検診を受けていない
  • 最後に肺の検診を受けてから、1年以上たっている

当てはまるものがあれば、お気軽にご相談ください。


当院でできること

  • 肺ドック(胸部低線量CT・自費):症状のない方の肺の検診です。7,700円(税込)
  • 肺ドックのご予約は、お電話またはWeb予約で承っています
  • 咳や痰などの症状がある方は、肺ドックではなく、保険診療での診察・検査となります
  • 肺ドックでは、医師からの直接の説明はありません。結果は、郵送(追加550円・税込)または窓口でのお受け取りです。画像データ(CD-R)をご希望の方は追加1,100円(税込)です
  • 肺ドックの主なリスク:被ばく、精密検査が必要になる場合があること、過剰診断、肺以外の所見が見つかる場合があること
  • 当院のCTは、ディープラーニングを用いて設計された画像再構成技術「AiCE」を搭載しています。画像のざらつきをおさえながら、被ばく線量を低くした撮影ができます。胸部レントゲン1枚と同等の被ばく量におさえた低線量CTにも対応しています(体格や撮影条件によって異なります)
  • 胸部CT(保険診療):症状がある方、健診で胸部X線の異常を指摘された方。医師2名でダブルチェックし、撮影した当日に、画像をお見せしながら結果をご説明します
  • 胸部X線検査(AIによる読影支援)
  • 精密検査が必要な場合は、保険診療での検査や、専門の医療機関へのご紹介を行います
  • 禁煙外来(製剤の供給不足により、連携施設へ紹介する場合があります。)

診療案内:検診
診療案内:呼吸器疾患


まとめ

・一度「異常なし」でも、たばこを多く吸ってきた方の肺がんのリスクは続きます
・50〜74歳で喫煙指数600以上の方は、年1回の低線量CT検診がガイドラインで勧められています
・咳や血痰などの症状があるときは、検診を待たずにご相談ください

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断や治療方針を示すものではありません。内容は掲載時点の情報にもとづいています。症状のあらわれ方や、検査・治療の必要性は患者さんごとに異なります。費用は検査や診療の内容によって異なります。ご不明な点は当院(電話 092-791-3985)までお問い合わせください。


今回の記事の根拠

・Ledda RE, et al. Long-term efficacy and adherence of a lung cancer screening strategy with extended LDCT intervals: Results from the BioMILD trial. Lung Cancer. 2026;221:109629.(https://doi.org/10.1016/j.lungcan.2026.109629)
・国立がん研究センター がん対策研究所『有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン 2025年度版』(2025年4月25日公表)
・厚生労働省「がん検診」ウェブサイト(がん死亡数の順位・2024年)


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以上、【肺がん検診、「異常なし」1回で終わりにしていませんか? ― 喫煙歴のある方の低線量CT】でした。
『福岡に医療で貢献する』ことを目標に、患者様へより良いサービスを提供できるように日々精進してまいります。
引き続き、福岡天神頭痛と肺のクリニックをどうぞよろしくお願いいたします。

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